公民館

隣の駅の近くに図書館と公民館があって両者は同じ建物内にある。図書館は夜7時に閉まる。公民館は夜10時に閉まる。公民館にはロビーがあって新聞が置いてあり、20ほどの座席とテーブルが設置されている。そのほか昼間に食堂として使用されていた椅子、机も使用できるので、仕事帰りの人などが座って新聞読んだり、本読んだりしている。もちろん暖房も効いている。

図書館が閉まった後、そこにしばらく座っていると、50代くらいの男性に声をかけられた。本を差し出されて、「これ、なんて読むんですか?」と聞かれた。指を指している部分をみると「酩酊状態…」と書かれている。「めいてい、ですよ」と答えた。「え?」といわれたので、少し大きな声で「め・い・て・い・ですよ」と答えた。すると「どうもありがとうございました」とそそくさとその男性は自分の席に戻っていった。その先は別に観察する余裕もなく、こっちは根抵当の条文をちらほらみながら事例を読んでいた。で、ふと、「うーん、意味も言っておいたほうがよかったのかな」とか心の中でつぶやいていた。「いや、でも、そのときに意味はなんですか?とか言われなかったから自分で調べる人なんだろうな、ちがうかな」とか、いちいちなに考えてんだろ俺はとか思ってたら、またその男性がやってきた。手に電子辞書を持っている。「お、やっぱこの人、調べる系の人なんだな、よかった」と思いつつ、「どうしたんですか?」と聞いてみる。「めいてい、では載ってないんです」と言いながら、男性は電子辞書を私に預ける。見ると、検索画面に「meiteiq」と打ち込んで検索をかけた後が見受けられた。「なんで、ローマ字なんだろ?なんで、めいていきゅっ、なんだろ?きゅってのがなんかかわいいなあ」とか思いながら、よく見ると、英和辞典で検索かけていたのである。「広辞苑ボタン押してから、検索したらでますよ、ほら」というと、男性は、「あほんとだ、どうもすいません、お忙しいところ」と言ってまた自分の席に戻っていった。

「お忙しいところ」「お忙しいところ」うーん、忙しくないんだよ(笑)。大学生の若僧ごときにもったいない言葉のように聞こえてしまったし、ちょとだけ哀愁を感じてしまったよ。